トランス脂肪酸の蓄積

 

脂肪と言えば、体に蓄積する、という意識があると思います。ではトランス脂肪酸はどうかと言えば、他の脂肪酸と比較して特別蓄積しやすいということではありません。

 

2004年EFSA(欧州食品安全機関)の意見書の記載では、トランス脂肪酸は消化、吸収に関して他の脂肪酸と同様であり、代謝経路も他の脂肪酸と同じだとしています。トランス脂肪酸も特に蓄積しやすいことなく、脂肪酸は最終的に酸化されエネルギーになります。いずれにしても脂肪酸の摂取量は摂取バランスに関係しているのです。

 

WHOの専門機関では、トランス脂肪酸の摂取は総エネルギーの1%以下にせよと勧告しています。欧米人は基本的にトランス脂肪酸の摂取量が多いのです。2012年食品安全委員会の評価書によれば、日本人の場合は、トランス脂肪酸平均摂取量が、総エネルギー摂取量に対して男性が0.30%、女性が0.33%となっており、欧米諸国と比較すれば確実に低い摂取量なのです。

 

摂取量の多い方から5%の位置に当たる人の摂取量を95パーセンタイル値と言うのですが、男性が0.70%、女性が0.75%です。つまり、WHOの勧告する1%に殆どの日本人は収まっているのです。

 

もともと日本人は欧米と比較すれば、魚類などから多価不飽和脂肪酸を多く摂取しており、食肉等からの飽和脂肪酸摂取は少なくなっており、普通の日本人の食生活をしていれば、実はそんなにトランス脂肪酸の影響はないとも考えられます。ただし、欧風化の食生活で食肉等の摂取量が増えている人は要注意かもしれません。