トランス脂肪酸規制

 

前述までの通り、欧米ではトランス脂肪酸の摂取量が多いので、その摂取量自体を規制するという動きがあります。

 

欧米では栄養表示項目にトランス脂肪酸が入れられるようになっています。一部欧州諸国ではトランス脂肪酸含有率が規制されてもいます。アメリカでは栄養表示のラベルにはトランス脂肪酸の表示が義務付になっています(2006年1月から)。韓国では2007年12月に改正表示制度が施行されており、トランス脂肪酸は表示の対象です。

 

コーデックス委員会(FAOとWHOが共同で設置している国際機関)では、トランス脂肪酸の表示・規制に関する議論が行なわれています。トランス脂肪酸を含有する食品規制も一部の国では実施されています。

 

デンマークでは、加工食品に使われる油脂中のトランス脂肪酸含有率を2004年からは2%以下に制限しています。アメリカでもニューヨーク市は、レストラン等での食品について、天然由来以外のトランス脂肪酸は1食当たり0.5g未満に規制しています。

 

このように各国においてトランス脂肪酸はやたら目の敵にされる状態になっているのですが、米国保健科学協議会(ACSH)の2006年10月の発行冊子では、トランス脂肪酸という一つだけの影響を誇張するのは、他のリスク要因から注意がそれるので、公衆衛生上はかえって好ましくない警告しています。確かに他の要因も考慮したトータル的な対応が必要なのは言うまでもありませんね。