トランス脂肪酸の問題点
さて、ではトランス脂肪酸が問題と言われている理由を詳しく話していきましょう。トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、LDLコレステロールの上昇作用などがあるので、心臓疾患リスクが増加するとされています。動脈硬化や心臓疾患との関係というわけです。
血中LDLコレステロールが増加し、逆にHDLコレステロールが減少するのが問題で、動脈硬化や心臓疾患のリスクは高くなります。こうした相関関係は、飽和脂肪酸と似た作用といえます。
摂取脂肪酸のバランスと総量でLDLコレステロール、HDLコレステロールも変化しますが、トランス脂肪酸に関した研究を総括すると、総エネルギーの約2%以上のトランス脂肪酸を摂ることで影響が出てくるようです。
その他の疾病との関係も指摘されています。ただし、2012年食品安全委員会(日本の食品安全委員会に相当するEUの食品のリスク評価機関)の評価書の記載では、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、加齢黄斑変性症及び認知症については、トランス脂肪酸の摂取との関連を結論できなかったとなっています。
はっきりしているのは肥満、アレルギー性疾患についての関連です。妊産婦、胎児等に対しては健康への影響も考えられているようです。もっとも、こうした影響についてはトランス脂肪酸の摂取量が多い人々を対象にした調査結果なので、平均的な日本人なら摂取量が少ないので、関連がそれほど明らかではないようです。
日本生協連では、食事からの脂肪の摂取について「トランス脂肪酸を減らすことだけにこだわらず、脂肪を適切な量を摂ること。農産物や魚介類も含めいろいろな食べ物からバランスよく脂肪を摂る」というのを推奨しています。